この記事では、登山ザックのパッキングについて説明していきたいと思います。
荷物をザックに入れる方法について、「正直、何でもいいんじゃない?」とか「適当でいいんじゃない?」と思っている方はいませんか?
ちょっと待ってください。パッキングは登山の始まりと終わり、いわばパッキングに始まりパッキングに終わるといっても過言ではないくらい重要なんです。
パッキングがうまくいけば、登山もぐっと楽になりますし、上りでも快適に、そして下りでも安心して歩けるようになるかもしれません。
そう思ったら、「ちゃんとやってみようかな」「どういう風にパッキングすればいいんだろう?」という興味が湧いてくるんじゃないかと思います。
今回はパッキングの基本について、私の経験則に基づいて、どういう風にやっているか、どういう考えを持っているかというところを含めて説明します。
登山のパッキングの基本
荷重と利用頻度と位置の関係
まず最初に説明したいのは、荷重と利用頻度、このバランスが一番大事です。
このバランスをどう考えるかが、パッキングの基本中の基本となります。
ザックは大きく4つのエリアに分けることができます。1つ目がザックの底部、2つ目が中間の背中に当たる部分、3つ目が中間の外側、そして4つ目が上部です。それぞれに荷物を入れる際、重さの感じ方が大きく変わってきます。
【荷重と配置】
まず、ザックの上部には比較的軽いものを入れることが推奨されています。そして、中間の背中に当たる部分、つまり体に近い部分には、一番重いものを入れましょう。中間の外側には軽いもの、そしてザックの底部には軽くてほとんど使わないものを入れるのが基本です。
このように荷物を配置することで、登る際に感じる重さが全然違います。
なぜかというと、これは力学的な観点から説明ができます。例えば、手元にあるものを持つ際、体に近い位置で持つ場合と、遠くで持つ場合では重さの感じ方が全く違うのと同じです。体から離れるほど重く感じるのが基本的な力学の法則です。
【利用頻度】
もう1つ重要なのが「利用頻度」です。利用頻度の高いものは、すぐに取り出せる場所に置くべきです。
逆に、使わないものは取りづらい場所、つまりザックの下部やあまり使わない場所に置くのが理想です。
パッキングを考える際は、この「荷重」と「利用頻度」の2つを軸に考えていきます。
まとめると、ザックの上部には軽くてよく使うものを入れ、中間の背中に当たる部分には重くて使わないもの、外側には軽いもの、そして底部には軽くてほぼ使わないものを入れる、というのが基本です。
例えば、よく使う行動食や手袋、雨が降りそうな時はレインウェアも上部に入れておくと良いです。逆にテントや予備の水、食料などの重いものは、ザックの背中側、つまり体に近い部分に配置します。これにより、重さを感じづらくなる効果があります。
一方、雨が降らない時は、レインウェアは中間の外側に入れておいても良いでしょう。また、行動着なども軽いものとしてこのエリアに入れることができます。ザックの下部には、シュラフやマット、枕など軽くてほぼ使わないものを入れると、全体的なバランスが良くなります。
こうした理論に基づいてパッキングを行うことで、重さを感じにくくすることができます。
ただし、あまり深く考えすぎると難しく感じてしまうかもしれません。
いろいろな流派や考え方がある中で、まずは基本を押さえることが大事です。
基本を理解すれば、応用が効きやすくなります。
外付けについて
次に外付けの話をしたいと思います。外付けについては、賛成派と反対派に分かれますが、私は中立的な立場でフェアにお話ししたいと思います。
さて、外付けについてですが、危険な要素が含まれるので、あまり外付けをしない方が良いと言われている理由について説明します。
これまで私が登山中に見てきた例ですが、例えば水のボトルや予備の水などを外付けにしている人がいました。
外付けしていると、それが外れて落ちる可能性がありますよね。
もし、例えばその水が落ちて、さらにそれが岩に当たって、その下にいる人に当たってしまったらどうでしょうか?
これが外付けが危険と言われる理由の一つです。
特に狭い登山道や混雑している登山道では、外付けをするのはTPO(時と場所、場合)を考えるとよろしくないと言われています。
ザックに外付けされているポールやマットが、他の登山者に当たってしまうこともあります。
たまに歩いていると、マットやポールが他の人に当たってしまうケースもありますよね。
特にマットの外付け部分が他の人にぶつかってしまったりして、相手に不快な思いをさせることがあります。
外付けが体に当たると、当てられた人はちょっと不快に感じるかもしれません。
外付けをしている人自身は気づかないかもしれませんが、他の登山者に迷惑をかけてしまうことがあるんですね。
そういった不快さや迷惑を防ぐために、外付けは慎重に行うべきです。
外付けについてまとめると、ザックに入りきらないものを外に付けるというのが基本です。
そして、利用頻度が高いものを外付けすること自体には意味があります。
ただし、TPOに応じて外付けをするかしないかを考えることが非常に大事です。
ザックの種類と限界荷重
パッキングに関しては、次に話したいのが「ザックの限界荷重」についてです。これも非常に重要なポイントです。
時々、ザックに対して適切でない量の荷物を背負っている人を見かけますが、ザック自体が耐えられる荷重には限界があります。
特に、肩と腰で荷重を分散するかどうかが、パッキングの基本となります。
ザックは、大きく2種類に分けることができます。
1つ目は、肩と腰で荷重を分散するタイプのザック、そしてもう1つは肩だけで荷重を支えるタイプのザックです。
肩と腰で荷重を分散するタイプのザックには、ウエストベルトが付いており、肩と腰で重さを分散することで負担を軽減することができます。
このタイプのザックは、荷重が重くても肩にすべての負担がかからないため、比較的快適に登山ができます。
ただし、ウエストベルトが付いている分、ザック自体の重量が重くなることが多いです。
また、腰にベルトが干渉することで、岩場などでは動きづらくなることもあります。
もう1つのタイプは、肩だけで荷重を支える「ULザック(ウルトラライトザック)」です。
これは、ウエストベルトがないか、あっても簡易的なもので、基本的に肩に荷重が集中します。
メリットとしては、軽量で動きやすいという点があります。
ザック自体が軽いので、スピードを重視した登山に向いています。
しかし、このタイプのザックには限界荷重があり、それを超えると肩に負担が集中してしまい、非常に不快な状態になります。
ザックにはそれぞれ耐えられる荷重があり、適正な荷重を超えると、ザック自体にもダメージが出る可能性があります。
これが限界荷重の考え方です。
メーカーやザックの種類によって、適正な荷重は異なりますが、例えば私が使っている「ラッシュ30」というモデルの場合、水を含めた装備で10kg以内に抑えるようにしています。
これを超えると、肩や腰に負担がかかりすぎてしまいます。
また、別のザックで「キャンスパイン28〜35リッター」のモデルでは、12kg程度が限界荷重と考えています。
それ以上になると、ザックの機能を十分に活かせなくなります。
さらに、最大15kg〜20kgを背負う際には、専用のザックを使用して対応しています。
まとめ
ザック内は大きく4つのエリアに分けることができ、荷重と利用頻度の観点から以下のように入れるのが基本となります。
①上部:軽くてよく使うもの
②中間背中部:重くて使わないもの
③中間外側部:軽いもの
④下部:軽くてほぼ使わないもの
外付けについては、ザックに入りきらないものを外に付けるというのが基本です。
利用頻度が高いものを外付けすること自体には意味があります。
ただし、狭い登山道や混雑している登山道などでは迷惑になることがありますので、TPOに応じて外付けをするかしないかを考えることが非常に大事です。
ザック自体が耐えられる荷重には限界があり、肩に負担がかかったり、ザック自体にダメージが出ることがありますので、荷物の重さに応じてザックを選ぶ必要があります。
今回の説明は自分が行っているパッキングの方法に基づいています。
パッキングにはいろいろな考え方があり、このやり方でなければダメというわけではありませんが、参考にしていただければ幸いです。