今回は「2024年最新の山岳保険の選び方」をテーマに、山岳保険の基本や各社の特徴を解説し、特に注目されている「ココヘリ」や「ジロー」の変更点についても触れます。
登山中の万が一の事故に備えるため、山岳保険の重要性と選び方を詳しく解説しますので、最後までお読みいただければと思います。
山岳保険の基本的な役割と重要性
山岳保険とは、登山中に起こる事故や怪我に備えるための保険で、特に遭難時の救助費用や医療費、個人賠償責任に対応する内容が含まれています。
車に乗る際に自動車保険に加入するのと同様に、登山者にとっては山岳保険が必要不可欠です。
山岳保険には短期加入ができるものと、年間契約で継続的にカバーされるものがあり、自身の登山頻度に合わせて選ぶことができます。
近年、日本では年間で3000件以上の登山事故が報告されており、そのうちの多くが遭難や転倒・滑落によるものです。
登山者が増え、登山人口が多様化する中で、登山中の事故リスクは誰にでも起こりうるものとなりました。
登山者にとって、山岳保険に加入しておくことは「もしも」の際の救済手段を確保するために重要であり、山に入る全ての人が備えておくべきものだと言えます。
山岳保険の基本的なカバー範囲
山岳保険がカバーする範囲は、保険会社やプランによって異なりますが、主に次の3つが基本的な補償項目です。
1.遭難救助費用
遭難した場合、捜索・救助にかかる費用を補償します。
警察や消防による一次救助が行われますが、これでは発見できない場合に家族が民間の救助隊を手配する「二次救助」が必要になることがあり、二次救助費用は個人負担になるため、ここが大きな補償対象となります。
2.入院・治療費用
登山中の事故や怪我で病院に搬送された際の治療費用を補償します。ヘリでの搬送が必要になるケースもあるため、医療費の補償は重要な項目です。
3.個人賠償責任
他人を誤って怪我させてしまった場合や、他人の財産に損害を与えてしまった場合の賠償責任も補償されます。
登山では石を落として他人を傷つけるリスクがあり、こうしたリスクに備えるために個人賠償責任も重要です。
救助プロセスと公的救助・民間救助の違い
登山での遭難事故が発生した場合、まず本人や家族が警察や消防に救助要請をします。
登山エリアによっては携帯電話の電波が届かない場所も多いため、家族や知人が登山届の情報をもとに連絡するケースもあります。
一次救助は警察や消防によるものであり、基本的には無料です。
しかし、一次救助では発見できなかった場合、家族が民間の捜索隊を依頼する「二次救助」が必要になることがあります。
この二次救助の費用は一般的に有料で、山岳保険はこの費用をカバーするのが目的です。
二次救助ではヘリの使用が含まれる場合もあり、非常に高額になることもあります。
最新の山岳保険の比較とおすすめの選び方
では、2024年現在の主要な山岳保険を比較し、どの保険がどのような登山者に適しているかを解説していきます。
1. ココヘリ(COCOHELI)
「ココヘリ」は、高精度な発信機を利用して遭難者を早期発見するためのサービスで、登山者にとって有名な選択肢です。
現在、ココヘリは地域によって発信機を使用した捜索に限定されており、必ずしも全国で対応可能なわけではありません。
ヘリの飛行範囲も限られているため、サービス内容の詳細を理解した上で利用することが大切です。
ココヘリの特徴は、年会費を支払うことで、発信機を携帯しながら登山でき、万が一の際にはこの発信機が捜索に活用される点です。
高精度の発信機により、早期発見が期待でき、救助費用を大幅に抑えることが可能です。
ただし、ヘリ捜索が全てのエリアで提供されるわけではなく、一部の地域でしか利用できないため、サービス範囲を確認することが重要です。
2. モンベル(Montbell)
「モンベル」は登山用品で知られるブランドですが、登山者向けの保険サービスも提供しています。
モンベルの山岳保険には「野外活動保険」と「山岳保険」があり、登山道での事故に特化した「山岳保険」が推奨されます。
この保険は、特に捜索救助費用が充実しており、救助費用が500万円までカバーされ、個人賠償は最大1億円、死亡保険金が500万円と充実した内容です。
また、モンベルの保険は店舗でも申し込みや相談ができるため、保険についてのサポートを受けやすい点がメリットです。
登山初心者からベテランまで、幅広い登山者に対応できる内容で、特に長期的な保険が必要な方に向いています。
ヤプ(YUP)
2024年から登場したヤプは、登山専用の保険として登場しました。
特に特徴的なのが、登山のシーンに対応した「目撃情報収集システム」があり、万が一の際に目撃情報をもとに捜索を進められる点です。
ヤプの山岳保険は、ピッケルやアイゼンを使用する雪山登山にも対応しており、救助費用が300万円まで補償されます。
登山シーンの多様性に対応する内容ですが、比較的新しいサービスであり、今後のサポート体制にも注目したいところです。
どの保険を選ぶべきか? 登山スタイル別のおすすめプラン
次に、登山スタイル別におすすめの保険プランをご紹介します。自分の登山頻度や地域に合わせて最適な保険を選ぶことが大切です。
1. ココヘリと山岳保険の組み合わせ
登山を頻繁に行い、特に単独行の登山が多い方には「ココヘリ」と「山岳保険」の両方を組み合わせることをおすすめします。
ココヘリの発信機で早期発見が可能で、万が一の際にも山岳保険による救助費用が補償されるため、安心感が非常に高い組み合わせです。
年間の費用はやや高めですが、安全を最優先する場合にはこのプランが最適です。
2. ココヘリのみ
登山の頻度が低く、費用を抑えたい方には「ココヘリのみの加入」も選択肢となります。
発信機の精度が高く、早期発見に特化したココヘリのみでの加入は、比較的予算を抑えつつも安心感を得られるプランです。
ただし、遭難後の救助費用は自己負担となるケースがあるため、早期発見が最優先の方に適しています。
他社の山岳保険
ココヘリの発信機が必要ない方には、モンベルやヤプといった他社の山岳保険の加入がおすすめです。
これらの保険は、登山シーンに合わせて手厚い補償が特徴で、自分の登山スタイルや地域に合わせて選ぶことができます。
登山届けの提出と救助要請の重要性
山岳保険への加入も重要ですが、登山届けの提出も非常に大切です。
登山計画を家族や知人に知らせておくことで、万が一の時に警察や消防に救助要請がしやすくなります。
登山中に携帯の電波が届かないエリアも多いため、登山届けの提出が自分を守る重要な手段となります。
登山届は、オンラインでの提出も可能で、アプリを利用することでより簡単に記録が残せます。
登山中に事故が発生した場合、家族が登山届けの内容を基に、捜索依頼を警察や民間救助隊に行うことができます。
まとめ
2024年の最新情報に基づき、山岳保険の選び方と各社の特徴を解説しました。
登山者にとって山岳保険は、安心して登山を楽しむための重要な備えです。
自分の登山スタイルや頻度、登る地域に合わせて、最適な保険プランを選びましょう。
ココヘリやモンベル、ヤプなどの保険を検討する際には、保険内容の詳細を確認し、自分に合ったプランを選ぶことが大切です。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。