今回は、私が登山に持参する行動食について紹介します。
ただ、その前に、まず「なぜ行動食が重要なのか」という基本的なところから説明したいと思います。
この部分をしっかり理解することで、登山中における行動食の役割や選び方が明確になるはずです。
行動食が必要な理由
登山では大量のエネルギーを消費します。特に、長時間歩き続ける場合、普段の生活では想像できないほどのカロリーが必要です。
(1) 消費カロリーの具体例
例えば、体重60kgの人が日帰りで6時間の登山を行うと、約2000~3000kcalを消費します。
この数値は成人男性の1日の基礎代謝に匹敵するか、それを上回る場合もあります。
消費カロリーは、登る山の標高や難易度、個人の体格や体力によって異なりますが、いずれにせよ普段以上にエネルギーが必要です。
(2) カロリー不足が招く危険
登山中にエネルギー不足になると、「シャリバテ」と呼ばれる状態に陥ります。
シャリバテの症状:
・強烈な空腹感
・筋力低下による歩行困難
・精神的な意欲の喪失
「シャリ」というのはご飯を指し、「バテ」は力尽きることを意味します。
つまり、シャリバテは「エネルギー切れによる力尽きた状態」を指します。
私自身もこれまで200ほどの山に登ってきましたが、そのうち10回ほどシャリバテ状態を経験しました。
この状態になると、ただ休憩してご飯を食べても、すぐには体力が回復しないことがあります。それだけシャリバテは危険な状態です。
(3) こまめなエネルギー補給の重要性
シャリバテを防ぐためには、体がエネルギー不足を感じる前にこまめに補給をすることが必要です。
行動中に手軽に摂れる食品を用意しておき、適宜摂取することで体力の低下を防ぎます。これが「行動食」の役割です。
行動食の選び方
(1) 必須要素:糖質
行動食で最も重要な成分は「糖質」です。
・糖質の役割:
糖質は体を動かすためのエネルギー源として即座に利用されます。
消化吸収が早いため、登山中のような体力をすぐに必要とする状況で非常に効果的です。
・具体例:
パン、チョコレート、砂糖を使ったお菓子など、糖質を多く含む食品が適しています。
(2) 塩分の重要性
塩分はエネルギー補給と並んで重要です。
・塩分が必要な理由:
汗をかくことで体内のナトリウムが失われ、脱水症状に繋がることがあります。
この状態では、いくら水を飲んでも体に吸収されにくくなります。
塩分を適切に補給することで、水分吸収効率を高め、体内の水分バランスを保つことができます。
・具体例:
塩飴や塩タブレット、スポーツドリンクなど。
(3) 携帯性と食べやすさ
登山中に食べる行動食は「携帯性」も重要です。
・携帯性:
軽量でコンパクトに持ち運べる食品が理想的です。
チューブ型ゼリーや個包装のグミなどが適しています。
・食べやすさ:
片手で食べられるもの、包装を簡単に開けられるものが便利です。
パサパサした食品は口の中が乾きやすく、水分を必要とするため、避けた方が良い場合があります。
行動食を選ぶ際の実践的なポイント
(1) 事前の試行
行動食は、実際に登山で試してみることが大切です。
人によって好みや消化のしやすさが異なるため、普段の生活や軽い運動の際に試しておくと良いでしょう。
(2) バランスを意識
一種類の食品だけに頼るのではなく、糖質、塩分、脂質などのバランスを考慮して複数の食品を組み合わせるのがおすすめです。
(3) 季節や気候を考慮
・夏場:塩分を含む食品を多めに準備する。
・冬場:エネルギー密度が高い食品を多めに持参する。
行動食が登山を支える理由
行動食は、ただの補助食品ではありません。
それは、登山を安全に楽しむための重要なツールです。
以下は、行動食がもたらす具体的なメリットです。
(1) 効率的な体力維持
小まめな摂取により、体力の急激な低下を防ぎます。
また、行動中の集中力を維持し、転倒や怪我のリスクを軽減します。
(2) 精神的な安心感
シャリバテを防ぐための行動食が手元にあることで、精神的にも安心して行動できます。
(3) 登山の楽しさをサポート
美味しい行動食を用意することで、登山そのものがより楽しい体験になります。
行動食の必要性、選び方のまとめ
行動食は、登山中のエネルギー補給に欠かせないアイテムです。
その選び方には、糖質や塩分を重視し、携帯性や食べやすさを考慮することが重要です。
また、こまめに摂取することで、シャリバテを防ぎ、安全で快適な登山を楽しむことができます。
これまでの説明を参考に、ぜひ次回の登山で適切な行動食を準備してください。
おすすめの行動食3選
ここからは、私が実際に登山中に愛用しているおすすめの「行動食3選」を紹介します。
これらの行動食は、私が多くの登山を経験する中で試行錯誤し、最終的にたどり着いた選りすぐりのアイテムです。
選んだ理由や特徴、それぞれの良さを詳しく解説します。
1. ゼリー型食品
(1) 特徴とおすすめの理由
・エネルギー補給が素早い
ゼリー型食品は液体と固形の中間のような形状で、消化が非常に早く、エネルギー補給に適しています。
特に私がおすすめするのは「朝バナナ味」のゼリー型食品です。
これには1個あたり194kcalが含まれており、ご飯1杯分程度のエネルギーを補給できます。
・水分補給と同時にエネルギー摂取が可能
登山中は水分補給も重要ですが、ゼリー型食品なら水分とエネルギーを同時に摂取できます。
口の中が乾燥しにくい点も大きな利点です。
(2) 活用シーン
・休憩時間に
登山中の小休憩の際、手早くカロリーを摂取できます。
袋を開けるだけで食べられるので、準備の手間がかかりません。
・歩行中に
手軽に片手で摂取できるため、歩きながらでも摂取可能です。
特に朝の登山開始直後など、軽いエネルギー補給が必要なタイミングで便利です。
(3) 実際の使用感
私は特に「朝バナナ味」を愛用しています。
バナナの自然な甘みがあり、飽きずに食べられるのが魅力です。
また、コンビニで簡単に手に入る点もポイントです。
価格も手ごろなので、頻繁に利用できます。
2. タフグミ
(1) 特徴とおすすめの理由
・高カロリーで軽量
タフグミは100gあたり317kcalという高カロリーを誇ります。
エネルギー密度が高いため、少量で効率的にカロリーを摂取できます。
その名の通り、少し硬めの食感が特徴で、噛むことで満足感も得られます。
・携帯性に優れる
小さな袋にまとめられており、ザックのポケットに入れておけば、歩きながらでも簡単に取り出して食べられます。
(2) 活用シーン
・行動中のエネルギー補給
特に長時間の歩行中に適しています。
グミは1個ずつ小分けになっているため、少しずつ食べられるのが便利です。
・気分転換にも最適
味のバリエーションが豊富で、酸っぱい系(レモンやグレープフルーツ)や甘い系(コーラ、ストロベリー)など、気分に応じて選べるのが魅力です。
(3) 実際の使用感
私が愛用しているのは「タフグミ コーラ味」です。
噛むたびに爽やかな風味が広がり、疲れた体をリフレッシュさせてくれます。
また、硬めの食感が好きな方には特におすすめです。
ザックに忍ばせておくと、行動中のエネルギー切れに即対応できます。
3. 塩分補給タブレット
(1) 特徴とおすすめの理由
・塩分補給が簡単にできる
森永製の塩分補給タブレットは、効率的に塩分を摂取できるアイテムです。
夏場や大量に汗をかく状況で特に効果を発揮します。
カロリーはほとんどありませんが、塩分が体内の水分吸収を促進するため、水分補給との相乗効果が期待できます。
・軽量で持ち運びやすい
小さなタブレットが個包装されており、荷物に負担をかけません。
(2) 活用シーン
・大量発汗時の対策
夏の暑い登山や急な標高差のある山道で使用します。
汗とともに失われるナトリウムを即座に補給することで、体の水分バランスを維持します。
・休憩時に少量摂取
大量に摂取する必要はありませんが、休憩のたびに1~2粒を口に含むことで、次の行動に備えます。
(3) 実際の使用感
塩分補給タブレットは味がシンプルで食べやすく、さっぱりした後味が気に入っています。
私は休憩ごとに1粒ずつ摂るようにしていますが、これが汗で失ったナトリウムの補給に非常に役立っています。
登山中の頭痛や倦怠感を予防するのに効果的です。
行動食を活用する上でのポイント
(1) 登山前の準備
行動食は、登山前に計画的に準備しましょう。
食べるタイミングや量をあらかじめ決めておくことで、登山中にエネルギー不足になるリスクを軽減できます。
(2) 行動中の食べ方
休憩ごとに少量ずつ食べるのが基本です。
一度に大量に摂取すると、胃腸に負担がかかるため、こまめに少量を摂ることを心がけましょう。
(3) 緊急時の備え
シャリバテ防止のために、行動食を少し多めに準備しておくと安心です。
特に予想外の天候変化やルートの遅延に備えて、予備の行動食を持つことをおすすめします。
おすすめ行動食のまとめ
今回ご紹介した3つの行動食(ゼリー型食品、タフグミ、塩分補給タブレット)は、それぞれ異なる特徴と役割を持っています。
これらを適切に活用することで、登山中のエネルギー補給を効率的に行い、シャリバテや脱水症状を防ぐことができます。
・ゼリー型食品:素早いエネルギー補給と水分補給が同時に可能。
・タフグミ:高カロリーで携帯性に優れ、味のバリエーションも豊富。
・塩分補給タブレット:汗で失われる塩分を効率的に補給。
これらの行動食は登山を安全で快適に楽しむための必需品です。
ぜひ次回の登山で試してみてください!