今回は、熊撃退スプレー(熊よけスプレー)の使い方と、確実に入手する方法や輸送方法について説明したいと思います。
近年、ツキノワグマやヒグマの出没情報や遭遇情報が増えてきています。
未曾有の熊警戒レベルが上昇している状況で、非常に危険な状態です。
そんな中で、熊撃退スプレーを正しく使う方法や入手する方法をお伝えすることで、安全に登山を楽しんでいただきたいと思います。
熊対策の基本について
まず、熊撃退スプレーの話に入る前に、熊対策の基本について説明します。
熊対策の基本中の基本、それは「クマに遭遇しないこと」、つまり出会わないことが一番大事です。
出会わないために何をするかというと、自然界にない音を出すことです。
この音を出すというのが超重要な対応方法です。
音を出す手段として一番身近なものが、熊よけの鈴やスピーカーで音楽を流す、ラジオをつけるなどです。
最近では「熊鈴の音で逆にクマを引き寄せる」という意見もあります。
熊も人間と同じで、10匹のうち9匹は優しいけど、1匹は怖い熊もいるといった具合で、音に慣れている個体も確かにいます。
人間を襲う個体や、食べ物を与えられたり、人間に関連した行動をした熊にとっては、熊よけの鈴が効かないこともあります。
でも、そういった個体は少ないです。
熊よけの鈴を持っているだけで、ほとんどの熊には効果があります。
では、熊よけの鈴を持っているだけで本当に大丈夫なのか?
そんなことはありません。
熊対策の三種の神器と言われるものがあります。
その1つが「ホイッスル」です。
音が響かない場所、例えば沢や川沿いなどでは、熊に人間の存在を知らせるためにホイッスルを使います。
ホイッスルは熊対策の非常に重要なアイテムです。
そして最後の熊対策の神器が「熊撃退スプレー(熊よけスプレー)」です。
これまでは、熊に遭遇しないように対策してきましたが、この熊撃退スプレーは、遭遇してしまった時に使うもので、最後の切り札です。
特に北海道などでは、熊と戦っても絶対に勝てません。
熊撃退スプレーがあるかないかで、熊に襲われた際の生存率が大きく変わってきます。
なので、三種の神器を持ち歩くことが大原則です。
熊撃退スプレー(熊よけスプレー)の使い方
熊撃退スプレー(熊よけスプレー)は、ほとんどの方は携行したことがあっても、実際に使ったことがないのではないでしょうか?
使い方がわからなければ、その効果を発揮できません。
なので、使い方や注意事項をしっかり理解して、携行してください。
熊に遭遇するパターンは2つあります。
最悪なのは「出会い頭の遭遇」です。
もう1つは、遠くから熊がいるのがわかって出会うパターンです。
出会い頭の遭遇は非常に危険です。
熊が目の前に現れた時、熊スプレーを安全バーを外して、噴射できる状態にする時間がない場合があります。
そのため、熊スプレーをすぐに使える位置に携行しているかどうかが非常に重要です。
例えば、私の場合は、ザックの前に熊スプレーを入れています。
これで、一瞬で取り出して噴射できる状態です。
素早く取り出して使えるかどうかが、熊撃退スプレーを効果的に使えるかどうかにかかっています。
また、ホイッスルもすぐに使えるように前に付けています。
熊スプレーやホイッスルをどのように携行するかが非常に大事なポイントです。
一般的に熊撃退スプレーを購入すると、セーフティクリップや結束バンドが付いていますが、この結束バンドは外しておく必要があります。
このセーフティクリップを外せば、熊スプレーがすぐに使える状態になります。
購入後は、必ず結束バンドを外しておきましょう。
実際にクマに遭遇して噴射する際、セーフティクリップを外してすぐに噴射できる状態にしておくことが大事です。
噴射する時は、スプレーをクマの頭部に向けて行います。クマとの距離が非常に近い時が多いので、適切な距離で噴射することが重要です。
メーカーによっても異なりますが、一般的には噴射時間は5秒から10秒と言われています。
噴射距離としては、約5mから8mくらいしか飛ばないというのが平均的な数値です。
ただ、これはあくまで無風状態での数値です。
実際に熊撃退スプレーを使う際、適切な距離で使えるかというと、非常に難しいです。
もし本当にクマが襲ってきた場合、適切な距離は3mから4mですが、3mというのは非常に近い距離で、怖い状況だと思います。
遠い状態でクマ撃退スプレーを使ってしまうと、クマに届かないことがあります。
スプレーは一発しか使えないので、最終手段としてクマが襲ってきた段階で、3mから4mの距離で使用するのが最適です。
スプレーで狙うべき箇所はクマの頭部です。
これはとても重要なことです。
熊撃退スプレーを使用する際は、まずセーフティクリップを外し、クマの顔に向けて噴射します。
ギリギリまで間合いを取ってから顔に向かって噴射することが大切です。
このプロセスは怖いですが、非常に重要なポイントです。
熊撃退スプレーを使用しても、クマが襲ってくる場合もあります。
スプレーを使い切った後、最後の手段としてどうするか。
これは簡単に言うと、首を守ることです。
登山をしていると、ザックを背負っていますよね。
このザックが背中を守ってくれるので、うつ伏せになり首をしっかりと守ることが重要です。
クマに襲われた場合、首は致命傷を負いやすい部分です。
背中はザックが守ってくれるので、うつ伏せになって首を守り、あとは耐えるしかありません。
これが、クマに襲われた際の生存可能性を高める方法の一つです。
熊よけスプレーの入手や輸送方法
次に、北海道で熊スプレーを確実に入手する方法と輸送方法についてお話します。
普通に飛行機に乗って北海道に行く際、「熊撃退スプレーは持って行けばいい」と思うかもしれませんが、飛行機に持ち込むことはできません。
手荷物としても、預け荷物としてもNGです。
では現地で購入すればいいと思うかもしれませんが、これも簡単ではありません。
ホームセンターなどでも熊スプレーが売り切れていることが多く、現地に着いてから購入するのが難しいこともあります。
そこで、確実に熊スプレーを入手する方法として、モンベルショップでの事前予約があります。
例えば都内のモンベルショップで予約して、北海道の札幌や北広島店で受け取ることができます。これは非常に確実な方法です。
もし、すぐに山に向かうために時間がないという場合は、ホームセンターに電話をして在庫確認し、取り置きを依頼する方法もあります。
また、既に自分の家に熊撃退スプレーがある場合、北海道に輸送する方法もあります。
佐川急便の陸送を利用すれば、熊撃退スプレーを北海道に送ることができます。
私は実際に佐川急便を使って、北海道から東京の自宅にスプレーを送りました。
運送料は1,300円でした。陸送であれば熊撃退スプレーの輸送が可能です。
ただし、スプレーの種類や内容物によっては、送ることができない場合もありますので、事前に確認することが重要です。
送る際の梱包については、ダイソーなどで購入した梱包セットを使用すれば問題なく送ることができます。
北海道のダイソーで梱包材を購入し、熊スプレーを家に送ることができます。
これでシーズン中、例えば夏山や秋山でも、熊スプレーを安心して使用することができます。
熊に対する準備は必須
最後に、ツキノワグマやヒグマについて少し説明します。
ツキノワグマは体が小さいからといって、安心してはいけません。
襲われた場合、熊の俊敏さとパワーは非常に危険です。
人間は無事で済むことはまずありません。
熊が出没する地域では、必ず適切な装備と知識を持って行動することが重要です。
熊に遭遇することを「自分は大丈夫だろう」と考えるのは危険です。
熊に遭遇するリスクは常にあります。
安全に登山を楽しむために、しっかりと準備を整えてください。
そのために、この記事を参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。